後朝の別れ　きぬぎぬのわかれ　花街　はなまち　江戸川柳　　

興津　要：探訪　江戸川柳　（時事通信社、1990）145

後朝の別れ　きぬぎぬのわかれ　花街　はなまち　　　

後朝の階子は　恋の下り坂　　　　　　　　柳114　　“後朝”＝男女が同衾して別れる際に。各自の着物を着て帰る意味。遊里では客と遊女の朝の別れ。

明六つは　同じ鐘でも　憎うおす　　　　　柳65　　別れが辛い。情の籠る言葉を漏らす妓も。別離の悲哀

帰りなんすかと　細目に明いたぎり　　　　安9・智　戸をちょっと開けただけ

大いびき　別れの情は　ねからなし　　　　柳13　　客を無視して大いびき

後朝は　粉のない餅を切るような　　　　　宝8・八　別れを惜しみ、べたべた。切れない

袂にすがりては　顔を見せなんし　　　　　柳13　　悩殺的な媚態を見せる妓

すっぱりと　吸わせて　そして　いつ来なんす　柳47　濃厚なキスによる予約の催促

一と拳あて　近い内　来なという　　　　　柳16　客の背中をポンと叩いて、“近いうちに、また”