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きのこ・茸・キノコ・菌・カビの俳句 その1

 

名前のあるキノコは日本に2000種類くらいあると言う。名もないキノコを含めると4000種類。サルノコシカケの仲間の堅いキノコを除き、多くのキノコは1週間ほどの寿命である。もちろん、菌糸や胞子はずっと長生きしている。

キノコには食用になるキノコと、毒キノコと、食べないキノコとがある。

 

キノコは昔から俳句に詠まれている。ここでは、それらの俳句を紹介しよう。

“キノコ”は、茸、きのこ、木の子とも書かれる。キノコを“くさびら”、“菌(きのこ)”、“たけ”、“木の耳”とも呼び、俳句ではこれらの単語が使われることもある。

 

鍵和田:花の歳時記 夏、(講談社、2004

早松茸・さまつたけ

松茸 まつたけ さまつ にたり 馬鹿松茸

一籠に 千代をこめたり 早松茸          一笑子

早松茸 望めさうなる 冷え続く          茨木和生

 

蝉茸・せみたけ

蝉花 せみばな 冠蝉 かんぜん

蝉花や 疎き山べの 青葉垣            松浦青々

 

木耳・きくらげ

キクラゲ

木耳に 谺遠くも 来つるかな           山口草堂

木耳を 女人高野の 道に売る           西村公鳳

木耳や 森の奥ま で雨の音            小島健

 

梅雨茸・つゆだけ

梅雨菌 つゆきのこ 梅雨の茸 小紫占地 毛白初

梅雨きのこ ひとの油断を 見てをれり       藤田湘子

菩提 即煩悩 梅雨の けむり茸          鷹羽狩行

梅雨茸や 天下にはかに 動きたる         有馬朗人

梅雨茸の 一夜に生れて 掃かれけり        小柳未央

読み継ぎて うすくなる眼や 梅雨茸        両角直子

 

黴・かび

青黴 黒黴 毛黴 白黴 黴の宿 黴の家 黴の香 黴煙 黴の花

万巻の書を 黴びしめて 命あり          山口青邨

黴払ひつつ 子とうたふ ロシヤの唄        伊藤白潮

俳小屋の句 屏風だけは 黴させず         星野椿

ワグナーの とどろきわたる 黴の家        辻田克巳

つくづくと 黴 面白し 墨の尻          高橋睦郎

黴のアルバム 母の若さの 恐ろしや        中尾壽美子

いつまでも 黴びざるものを 捨てにけり      正木ゆう子

付け髭に 黴の生えたる 部室かな         二川茂徳

 

鍵和田:花の歳時記 秋、(講談社、2004

花の歳時記にキノコが取り上げられている。キノコは菌類であり、植物ではないが、子孫を残す胞子を作るのでこうしたのだろう。

茸・きのこ・くさびら・菌(きのこ)・たけ・木の耳

茸籠 茸山 茸番 茸飯 茸売

菌汁 大きな菌 浮きにけり            村上鬼城

爛爛(ランラン)と 昼の星見え 菌生え       高浜虚子

茸やく 松葉くゆらせ 山日和           杉田久女

人ごえの 雲と下りくる 菌山           石原舟月

茸飯 ふるさとは 灯を高吊りに          西村公鳳

茸山の 茸の孤独に 固まるる           三谷昭

茸 にほへば つつましき故郷あり         飯田龍太

山の茸 くひて けむりのごと歩む         綾部仁喜

誰も来ぬ日の 山中に 茸あそぶ          青柳志解樹

ひそひそと 茸の山に なっていし         矢島渚男

持馬を 預けてよりの 茸山            須佐薫子

夜は もとの釘に吊され 茸籠           柴田佐知子

茸山の 文目も分かず 暮れにけり         三村純也

その奥の 目立たぬ山が 茸山           岸本尚毅

茸売 山嶺くらき 雲溜めて            赤座閑山

謎めいた 茸ばかりや 祖谷の鍋          白石コヨ

茸 ぞくぞく混迷の世の 雨ばかり         内田美智子

暗黒の国の あるらし 茸生え           広瀬澄江 

松茸・まつたけ

松茸山 松茸飯 土瓶蒸し

松茸や 知らぬ木の葉の へばりつく        芭蕉

虚子を待つ 松蕈鮓(マツタケスシ)や 酒二合   正岡子規

松茸や 赤い松葉が 歯朶の中           瀧井孝作

松茸の 相寄る傘に 山雨急            秋元不死男

病妻の 帰宅一夜の 土瓶蒸し           澤田緑生

松茸の 今日が底値と すすめられ         稲畑汀子

眺めすぎしか 松茸飯の うすきかよ        甲斐すず江

松茸を探し 滑ってばかりいる           江川虹村

松茸の仕分 男ら突立てり             茨木和生

松茸を ほめて祭を 祝ぎにけり          岩城久治

 

舞茸・まいたけ・まひたけ

黒舞茸 くろまい 白舞茸 しろまい

一株にして 舞茸の大いなる            山崎ひさお

舞茸を かかへて転げ落ちたると          矢島渚男

舞茸の 舞はねば消ゆる 月の前          石寒太

 

湿地茸・しめじ・しめぢ

占地 しめじ 本占地

くらやみ帰る 女まじへし しめぢ狩        赤尾兜子

うかうかと 千本しめぢ 生えすぎし        後藤比奈夫

炉框の うすうす曇る 湿地かな          石田勝彦

 

椎茸・しいたけ・しひたけ

椎茸干す 茸干す 干茸 ほしたけ

坊の子の 鶏と遊べる 干菌(ホシキノコ)     米澤吾亦紅

神領の 山家暮しの 茸干し            清崎敏郎

椎茸の ぐいと曲がれる 太き茎          林徹

重き闇 椎茸は夜 太りいむ            草村素子

 

栗茸・くりたけ

栗もたし

庭山の 小谷もありて 栗茸(クリモタシ)     松本たかし

栗茸の 朽葉の匂ひ あはれまる          千代田葛彦

こはごはと 採りし 栗茸乾びけり         武井千鶴子

 

初茸・はつたけ

ハツタケ

初茸を 山浅く狩りて 戻りけり          高浜虚子

初茸は われを待つことなく ほうけ        山口青邨

初茸の どこか傷つく ところあり         嶋田麻紀

 

岩茸・いわたけ・いはたけ

高嶺岩茸 たかねいわたけ 岩茸採り

実は岩茸はキノコの仲間ではない。地衣類だ。乾燥したものを土産物店で売っていることがある。

 

岩茸とる 滴りしげき 命綱            加藤知世子

岩茸を はがす巌に しがみつき          滝沢伊代次

岸壁に 岩茸採りが 煙草吸ふ           青柳志解樹

 

楢茸・ならたけ

ナラタケ

ざるいっぱいの 楢茸抱き 父帰る         新海あぐり

 

毒茸・どくたけ

どくきのこ 汗茸 笑茸 痺茸 苦栗茸

笑ひ茸 食べて笑って みたきかな        鈴木真砂女

毒茸に 佇ちたるゆえの 風を負ふ        牧石剛明

崩れつつ 毒茸色を つくしけり         三島隆英

笑ひ茸 蹴とばし 山が怖くなる         秋沢猛

毒茸の 饒舌の色 尽しけり           橋本栄治

 

紅茸・べにたけ

ベニタケ

紅茸を怖れて われを怖れずや          西東三鬼

楊貴妃の 匂ひ袋が 紅茸            田中水桜

紅茸の 国へ踏みこむ 女靴           井桁白陶

 

初滑子・はつなめこ

初滑茸 はつなめたけ

初滑子 採る火の山の 裾にかな         伊藤いと子

稜線の 澄む日ぞっくり 初滑子         森川和江

林中に 日差しのまばら 初滑子         渋谷慶子

 

茯苓・ぶくりょう・ぶくりゃう

白茯苓 赤茯苓

漢方生薬の一つで、松に寄生し、子実体はできないようだ。

 

茯苓を 穿つそこらに 松露かな         二貞

茯苓は 伏し隠れ 松露は露れぬ         蕪村

茯苓の 白うなる夜か 松に月          其桂

    

天狗茸・てんぐたけ

蝿取茸 紅天狗茸 玉子天狗茸

夜は 天狗茸と語るか 石仏           鷹羽狩行

鍵をかけ忘れていたり 天狗茸          五島高資

候補者のこだまを笑ふ 天狗茸          北原昭子

蝿取茸 塩漬三月 大当り            新潟天狗

落葉松林 突如現れたる 天狗茸森        札幌1977

これだけあれば 研究は楽            天然物有機化学者

天狗茸 成分研究進みて 採集断念        1977天然物有機

 

 

猿の腰掛・さるのこしかけ

猿茸 ましらたけ 胡孫眼 こそんがん 万年茸 まんねんたけ 霊芝 れいし

日は山を はなれて遊ぶ 猿茸          古館曹人

庭木にも 猿の腰掛 御師(オシ)の宿      宮地恒子

木洩日の ときをり強し 猿茸          荒井千佐代

枯葉落ち これから採集 猿茸          札幌1976

 

月夜茸・つきよたけ

ツキヨタケ

栃木県塩原辺りでは、東京からの客が椎茸と思い採って帰ることが多いという。

 

狼の おくる山路や 月夜茸           中勘助

戸を開けて 音の出てゆく 月夜茸        桂信子

月夜茸 今宵はねむる 瀞(トロ)の雨      堀口星眠

目を交すだけの挨拶 月夜茸           宇多喜代子

宝刀の 眠れる村の 月夜茸           土肥あき子

椎茸と 喜んで採られる 月夜茸         東京茸人 

川苔・かわのり・かはのり

川海苔 かわのり

茸ではなく、淡水に生える藻類である。栃木県矢板辺りでも採れ、戴いたものを食べたことがある。

 

川海苔を 採る女童の 髪たれて         内山亜川

川苔の ひんやりとして 湯治宿         安倍元気

 

 

きのこの俳句・川柳をGoogle サイト内検索してみましょう。

http://haikusenryu.yomibitoshirazu.com/

 

 

 

キノコについて、Googleサイト内検索をしてみましょう。

http://www1.ocn.ne.jp/~amiyacon/

http://amiyacon.web.fc2.com/

 

 

 

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