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復本:俳句の魚菜図鑑 (柏書房、2006)238
寒フナを 尋ねて市に 鯉を得つ 正岡子規
生きて しづかな 寒鮒もろた 種田山頭火
藁苞に 寒鮒 生かし送りけり 長谷川かな女
寒鮒の うごかぬ ひまも日脚(ひあし)かな 室生犀星
寒鮒を 焼けば山国 夕焼色 山口青邨
寒鮒を もろ手に受ける 十あまり 瀧井孝作
堤下りて 寒鮒釣と ないにけり 永田耕衣
もてなさる 焼きし 寒鮒 さらに煮て 中村草田男
かげさせば 寒鮒釣の 振返り 大野林火
寒鮒を 茶で煮る 鍋のあるばかり 永井東門居
甘露煮や 寒鮒の金 なほのこり 加藤楸邨
寒鮒の 煮くづれて 目玉こぼしけり 八木絵馬
寒鮒に そへ あたたかき飯なりき 古沢太穂
寒鮒の 一夜の生に 水にごる 桂信子
煮くづれの 寒鮒 一尾 母の酒 草間時彦
寒の鮒 俎にのり 遠目なす 飴山実
奥田白虎編:川柳歳時記(創元社、昭和58年)107,835833
せせらぎに 音符がおどる 鮒もいる 森脇マサ子
春鮒がよく釣れ 尼僧も並び見る 杉アかつみ
寒鮒や 陰陰として 船一つ 川上三太郎
寒鮒の もの言う如し 二三尾る 水谷鮎美
寒鮒にかぎると 下戸の舌つづみ 川渕利一
天に顔向けて 寒鮒 陽を返し 小林一郎
寒鮒が 浮子へ静かにノックする 松本舎人
城崖の水面 静かな 寒の鮒 山口善四郎
寒鮒を釣る気 うごかぬ 頬被り 高木角恋坊
寒鮒の味が とどめの 田舎宿 妹尾喜子
奥田白虎編:川柳歳時記(創元社、昭和58年)594833
短竿で 楽しむ日々の 紅葉ぶな 稲葉星斗 紅葉ぶな
トトの日に 浮子を くすぐる 紅葉鮒 豊田健治
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