汁　汁物　料理　俳句・川柳

汁　味噌汁　けんちん（料理）　　

服部・山本：川柳おふくろの味（集英社、1996）

朝もぎの　茄子の味噌汁　母の味　　　　　　　山田佳弥子

おふくろの　味噌汁　旬の具沢山　　　　　　　　森親一

里帰り　幼時のまんまの　味噌汁の香　　　　　横田悦子

味噌汁に薫る　磯の香　母の味　　　　　　　　　滝瀬正

煮干しごと　食べねばならぬ　母の汁　　　　　　斉藤光悦

蕗の薹　母懐かしく　朝の汁　　　　　　　　　　　真壁侑司

母の味噌汁　目覚ましのよう　匂いくる　　　　　中野真理子

味噌ほのか　香りて　母の　つみれ汁　　　　　　伴茂男

母に似て　具が山盛りの　お味噌汁　　　　　　　　うにまる（草場清江）

みそ汁の香りが起こす　里の朝　　　　　　　　　　坂本カズ子　　　味噌汁

旬の味　食べて見直す　母の知恵　　　　　　　　　角谷秀雄

味噌汁の味に　差が出る　妻と母　　　　　　　　　藤原成憲

嫁ぐ日を　夢見て習う　お味噌汁　　　　　　　　　小林志子

菜を刻む　妻のリズムが　母の声　　　　　　　　　奥田英人

煮みそなべ　炭焼き小屋の　母の味　　　　　　　　松田さゆり　　　味噌鍋

ひび鍋は　お母の獲った　雑魚汁　　　　　　　　松下三郎　　　　母＝（かか）　雑魚＝（ぞうこ）

三平汁　嫂さ被りの　冬の母　　　　　　　　　　　真壁侑司　　　　嫂さ被り＝あねさかぶり　嫂＝あによめ

葱　刻む　音の響きに知る　夜明け　　　　　　　佐保明美　　　　葱＝ネギ

いつからか　煮込みの美味さ　懐かしく　　　　　見瀬和子

おふくろの　季節知らせる　味が好き　　　　　　西川英一

ずり出しの　大鍋かかる　おかまさま　　　　　　山崎克美　　　　お釜

雪の夜　いろり囲んだ　ウサギ汁　　　　　　　　曽田和徳　　　　囲炉裏＝いろり　兎＝うさぎ

目と舌で　味を盗んで　のっぺ汁　　　　　　　　　寺沢みち子

すりばちで　すりてまろやか　母の豆汁　　　　　　平良文　　　　　擂鉢＝すり鉢　豆汁＝（しる）

大根を　名優にする　母の出汁　　　　　　　　　　藤山真澄

おふくろの味は　野にあり　旬を摘む　　　　　　　渡辺けん三

けんちんの　蒟蒻ちぎる　母の味　　　　　　　　　原澤雄飛　　　　こんにゃく

母親の味　けんちんに　沁み渡る　　　　　　　　　今井勝樹　　　　けんちん汁

けんちん汁　貧しい日々の　母の味　　　　　　　　後藤美津代

朝すする　夕べのけんちん　母の味　　　　　　　広瀬喜八郎

ひもじさを満たした　母の　団子汁　　　　　　　　沢田清敏

息子らを育てた　母の　アルミ鍋　　　　　　　　　加藤田鶴子

ノッペイ汁　浸み込む母の　国訛り　　　　　　　　猶原繁野

すいとんに　苦労話が　ワンセット　　　　　　　　赤津光治　　　　水団＝すいとん

すいとんに　母の自慢の　芋団子　　　　　　　　　稲垣実

お袋の味　円満な　お家柄　　　　　　　　　　　　細見九如

嫁姑　味が似てきて　苦笑い　　　　　　　　　　　長屋和枝

郷土鍋　おふくろ自慢で　夜も更けて　　　　　　　倉田芳江

おふくろの味を　重ねた　鍋のもの　　　　　　　　森まもる

ストレスも　ぶっ飛ぶ　具沢山の汁　　　　　　　伊藤美司子

おふくろの味は　田舎の　だんご汁　　　　　　　　工藤光夫

この世では　母のつみれは　食べられず　　　　　　伴茂男

頬張れば　ほのかに　母の　芋煮会　　　　　　　山崎達也

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