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ビフィズス菌も乳酸菌の一種である。
ヤーコンを食べるとその成分であるフラクトオリゴ糖がビフィズス菌の餌になってビフィズス菌が増える。別のページ”フラクトオリゴ糖の性質・特徴”の所で書いたことは、実はほとんどが、フラクトオリゴ糖がヒトの身体に直接作用する話ではない。フラクトオリゴ糖は直接的にはビフィズス菌の餌になり、増殖させるだけだ。しかし、それが結果として
a.腸内菌叢の改善:ビフィズス菌の増加、有害菌の減少
b.便通・便性の改善:便秘改善・予防、快腸
c.腸内有害産物の生成を抑制:腸内清浄化
のような整腸作用を宿主であるヒトにもたらす。
こう言うわけで、腸内細菌について少し調べてみよう。
光岡(食品工業、(2001.2.28)18 (乳酸菌、腸内フローラと健康 海外における最近の研究成果と今後の展望))はこの点を良く纏めた。
腸内には100種100兆個以上の細菌類が棲息している。これを腸内フローラと言う。腸内フローラを形成する菌には、ビフィズス菌のような有用菌やウェルシュ菌・クロストリジウム菌のような有害菌がいる。これらのバランスの崩れと生活習慣病とに関連があることが次第に明らかになってきている。
プロバイオティクス(Probiotics)は”腸内微生物(菌)のバランスを改善することにより、宿主(ヒト)に有益に働く生菌添加物”のことである。これはヨーグルトなどを言っている。
プレバイオティクス(Prebiotics)は”大腸内に棲みついている有用菌だけの増殖を促進、あるいは、その活性を高めることによって宿主(ヒト)の健康に有利に作用する難消化性食品成分”のことであり、フラクトオリゴ糖や食物繊維などが含まれる。
LactobacillusやBifidobacteriumなどの乳酸菌を含む醗酵乳・乳酸菌飲料(ヨーグルトなど)がプロバイオティックスとして用いられており、その効果は
a.腸内有用菌の増加・有害菌の減少
b.免疫賦活作用(アジュバント効果、マクロファージの活性化→腫瘍壊死因子・インターフェロン・IgA抗体などの産生)
c.発ガン物質・変異原物質の吸着・除去
d.コレステロール低下作用
e.血圧抑制作用
などである。摂取した菌が生きていても死んでいても、これらの効果がある。
生きているビフィズス菌が大腸まで届かないと意味がないような広告がしばしば見られるが、ある程度の年齢になり、腸内に細菌が定着して、フローラが出来上がってしまってからでは、生きたビフィズス菌が大腸まで届き増殖することはあっても、定着することはない。効果を期待するには、ヨーグルト類を毎日摂取する必要がある。(伊藤注:ビフィズス菌が大腸内に存在していれば、その餌であるプレバイオティックス、すなわちフラクトオリゴ糖を与え続けてやれば、ビフィズス菌は大腸内に定住し続ける。乳児期にビフィズス菌が存在するのに定着しない理由は何か?)
免疫増強との関係で、母乳栄養児由来のBifidobacterium breveの熱死菌体にIgA産生増強作用がある。Lactobacillus acidophilis,L. casei,L. delbrueckii ss. bulgaricusやヨーグルトを経口投与することにより、単球・マクロファージ系(白血球)を活性化し、全身性の免疫応答を高めること、L. casei,L. lactis ss. cremoris,や各種のBifidobacteriumの菌体成分やヨーグルトの培養上澄にかなりの抗腫瘍活性があることが報告されている。
プロバイオティクスの発ガン抑制機構は
a.発ガン物質・発ガン前駆物質の吸着・阻害・除去
b.発ガン物質を生成する菌類の増殖を抑制
c.腸内pHの低下による発ガンに関連した酵素の活性低下及び胆汁酸水解性の低下
d.腸内容物の通過時間を短縮し、突然変異原の排泄を早める
e.乳酸菌菌体成分の免疫賦活作用
などである。
プロバイオティっクスは血中コレステロールを低下させる。コレステロールの合成に必要なhydroxy methyl glutaryl CoA
reductaseを阻害する3-hydroxy-3-methylglutaric
acid (HMG)を乳酸菌が産生するためと考えられている。他にも、プロバイオティっクスによるコレステロール低下作用のメカニズムが提案されている。
腸内フローラがアレルギーに関与していると言う議論もなされているが、これは別の機会に述べよう。
腸内フローラは過酸化脂質の生成に関与しており、乳酸菌には抗酸化作用がある。
ヨーグルトには、IgG,IgM,T cell,免疫増強効果がある。乳酸菌には免疫機能を強く刺激することが示されている。
免疫力が低下した人では、乳酸菌が病原性を発揮することがある。
光岡はバイオジェニックス(Biogenics)を提案している。バイオジェニックスは ”直接あるいは腸内フローラを介して免疫賦活、コレステロール低下作用、血圧降下作用、整腸作用、抗腫瘍作用、抗血栓、造血作用などの生体調節・生体防御・疾病予防・回復・老化制御など、生体に直接働く食品成分”で、免疫増強物質(biological response modifier,BRM)を含む生理活性ペプチド、植物フラボノイド、DHA、EPA、ビタミンA・C・E、βーカロチン、CPPなど生活習慣病の予防に有効な食品成分がこれに該当する。
オリゴ糖
オリゴ糖はヒトの消化酵素では消化されにくく、そのまま大腸まで到達し、そこで結腸内細菌により加水分解される。
Bifidobacteriumのほとんどの菌種はオリゴ糖をよく利用する。Lactobacillus, Bacteroides fragilis, Enterococcus,Clostridium, Peptostreptococcusなどの菌種もオリゴ糖を利用するが、その程度はBifidobacteriumよりはるかに弱い。C. perfringensやE. coliは利用しない。
ヒトがオリゴ糖を摂取すると、腸内に常住しているBifidobacteriumあるいはヨーグルトなどから摂取したBifidobacteriumが顕著に増加するが、ウェルシュ菌とレシチナーゼ陰性クロストリジウムが減少する。すなわち腸内フローラのバランスが改善される。この結果オリゴ糖の分解により生じた有機酸の量が増加し、アンモニア、イソ吉草酸、イソ酪酸、インドール、フェノール類、硫化物などの腐敗物質、pH、血清コレステロール、トリグリセリド値が低下し、大腸内環境が清浄化される。Bifidobacteriumがオリゴ糖から産生する乳酸や酢酸、プロピオン酸は腸蠕動を促進し便秘を予防する。これらの酸のために大腸内のpHは5.5〜6.9と酸性になり、腸内有害菌の代謝活性は抑制され、毒性物質の溶解度を減少させる。
酪酸は分化やアポトーシスを誘導し、細胞の増殖を抑制する。これらのことは大腸ガンの抑制に働いている。
中村(食品工業、(2001.3.30)30 (「カルピス酸乳」の血圧降下作用とその利用))
カルピス酸乳は優勢菌として乳酸菌Lactobacillus helveticusと酵母を含むスターターで乳を乳酸醗酵してできる醗酵乳であり、これには寿命延長効果、抗腫瘍効果、免疫賦活効果、血圧降下作用、疲労回復・ストレス低減効果、学習記憶効果があるとされた。
ICRマウスにカルピス酸乳を終生投与した所、対照群に比べ寿命が8%延長した。解剖により、ガンや感染症、腎障害の発生が遅延していた。カルピス酸乳を自然発症高血圧ラット(SHR)に7週齢より長期投与した所、血圧上昇が抑制された。24週齢の高血圧状態に達したSHRラットに単回経口投与しても、4〜8時間後に有意な血圧降下が認められた。
カルピス酸乳の血圧降下成分はトリペプチドのVal-Pro-Pro(VPP)とIle-Pro-Pro(IPP)であり、アンギオテンシン変換酵素(ACE)を阻害した。一般に、プロリンを含むペプチドは酵素による分解を受けにくい。VPP、IPPは配列中に2個のプロリンを持つので消化酵素では分解されにくい。
ヒトでの効果及び安全性を確認してある。
管(食品工業、(2001.3.30)35 (加熱処理乳酸球菌「EF-2001」の生理効果と食品への応用))
プロバイオティクスは、腸内フローラのバランスを改善することにより宿主(ヒト)に有益な影響をもたらす生菌である。乳酸菌やビフィズス菌はこれを摂取することにより腸内菌叢のバランスが改善され、腸内腐敗産物の低減や糞便性状の改善のような整腸作用がある。
醗酵乳や乳酸菌飲料中には生菌の数以上の乳酸菌やビフィズス菌の死菌体が含まれている。この死菌体でも免疫賦活作用を有する。例えば、殺菌醗酵乳混合飼料で飼育したマウスは対照群(牛乳混合飼料で飼育)に比し8%寿命が延びる。この延命効果は、菌の生死よりも菌体の摂取量が重要であると結論されている。
L. plantarumの加熱処理菌体(L-137)の経口投与によりTh1優位に免疫機能を増強する。加熱処理したビフィズス菌体の経口投与で、菌体が腸管パイエル板から取り込まれ、IgA+細胞数及びIgA産生細胞数を増加させる。
EF-2001はEnterococcus
faecalis 2001株の培養後の洗浄菌体を加熱処理した後に乾燥した菌末である。
EF−2001の腫瘍細胞抑制効果を調べるために、BALB/c7週齢のマウス(1群10匹)にエールリッヒ腹水癌細胞を腹腔内接種した後、EF−2001を腹腔内投与した。対照群は20日ですべて死亡するが、EF−2001を投与したマウスは22日の時点でも75%の生存率であった。生存したマウスは腹水増加による腹部の膨張がなく活発に動いていた。(以上、腹腔内投与)
同様の実験で、EF−2001を経口投与(飲ませる)した時については、対照群が17日ですべて死亡したが、投与量が多いほど延命効果が高まった。(経口投与よりも腹腔内投与の方が効果が高い。これはメシマコブなどでも見られている。)
リンパ球の活性化に関し解析した結果、EF−2001の経口投与により生体の免疫細胞が活性化されることが分かった。
EF−2001は淡黄色の僅かに甘味を有する微粉末で、冷水に容易に分散するが溶解はしない。EF−2001のもつ免疫賦活活性は加工による低減が少ないため、各種食品に応用できる。(死菌体にも免疫賦活作用があることが分かった点が重要。菌体を構成する物質は何か?オリゴ糖?それとも多糖?)
石川・綿貫:食品工業、(2001.2.28)26 (Lactobacillus casei シロタ醗酵乳の脂質代謝改善作用)
日本人の食生活の欧米化に伴い、心臓病で亡くなる人がガンに次いで増えている。虚血性心疾患は食生活に直結している高脂血症が主要な要因である。
高コレステロール血症は虚血性心疾患の危険因子であり、総コレステロール値が200mg/dlを越えると発症率が急激に増える。
ヨーグルトなどの醗酵乳のヒトにおける脂質代謝改善作用の試験はいろいろなされているが、結論が出ていない。
対人試験でシロタ株菌体熱水抽出画分に血圧降下作用があることが確認されている。また、血清総コレステロール値は有意に低下し、トリグリセリド値は低下傾向にあった。血圧降下作用成分は細胞壁を構成する糖ーグリコペプチド複合体であることも分かっている。
実験動物を用いていろいろ試験している。(伊藤にはまだ理解不能!)
加藤:食の科学、241(1998-3)30 (食事と免疫能、 乳酸菌の免疫増強作用)
乳酸桿菌はヨーグルトをはじめとする醗酵乳、チーズ、パン、味噌、醤油、漬物、ワインなどで利用されている。
醗酵乳の摂取は、1.カルシウム源、2.乳酸菌の働きによる消化・吸収の向上、3.下痢や便秘の改善、4.腸内菌叢の正常化、5.血清中コレステロールの低下、などが分かっている。
最近の研究では、醗酵乳やその中の乳酸菌菌体が生体の免疫機構に働き、ガンや感染症に対する抵抗力を増大させることが分かって来た。乳酸菌の摂取がマクロファージ、T細胞、B細胞などの機能に影響を与え、抗体産生やサイトカインの産生に影響を与えている。
この総説では乳酸桿菌菌体の免疫学的応答調節物質としての活性について述べる。
*乳酸桿菌の免疫賦活効果
**非特異的免疫能の活性化
腫瘍細胞Sarcoma180をマウスの皮下に移植した後、いろいろな乳酸桿菌の菌株を静脈内に注射すると、腫瘍の増殖を強く抑制するもの、全く影響を与えないものなどがあった。(BCGや溶連菌などの細菌菌体に抗腫瘍活性がある。)
カゼイ菌(Lactbacillus casei YIT9018)について免疫系を構成する細胞への影響を調べた。(カゼイ菌はフラクトオリゴ糖を利用しない。(機能性食品の開発展望(CMC,1988))
乳酸桿菌をマウスの腹腔に投与して得られるマクロファージの貪食能や、貪食した細菌を殺すライソソームに含まれる酸フォスファターゼやβーグルクロニダーゼなどの酵素が増加した。また、マクロファージの殺菌活性や活性酸素(細胞障害活性のエフェクタのひとつ)の産生が誘導され、マクロファージが活性化する。乳酸桿菌注射によりナチュラルキラー(NK)細胞や好中球の働きを活性化する。(NK細胞はガン細胞やウイルス感染細胞に対し殺細胞効果を、好中球は生態の感染防御に重要。)
**サイトカインの産生
免疫系は多くの種類の細胞で構成されており、それらの細胞間を相互につないで、それぞれの分化や増殖を調整している可溶生因子にいろいろなサイトカインがある。乳酸桿菌の注射により多くのサイトカインの産生が増強される。
乳酸桿菌がマクロファージを刺激することにより、マクロファージ活性化因子、マクロファージ細胞障害性因子、腫瘍壊死因子、インターロイキンー1、コロニー刺激因子の産生が増強される。また、ヘルパーT細胞からのインターロイキンー2、血中へのインターフェロンの産生も促進される。
−−−−>生体のガン細胞に対する抵抗力を増強
**放射線障害に対する防御効果
ガンの放射線治療によって、患者の造血細胞など細胞分裂の盛んな細胞に障害を与え、重い貧血や細菌感染症に罹りやすいと言った副作用を示す。
乳酸桿菌は造血細胞の分裂を促す因子であるコロニー刺激因子の産生を強める能力がある。
マウスに致死量の放射線を浴びせるとほとんどのマウスが死ぬ。このとき乳酸桿菌を皮下注射しておくと死亡するマウスが減る。全く死なないグループもあった。
死亡しないマウスでは血中のコロニー刺激因子の活性が高く白血球数も回復するし、骨髄にある造血細胞の分裂が盛んで、放射線で受けたダメージを回復しようとする。
ヒト子宮頚ガンの治療に放射線と乳酸桿菌の皮内注射を併用した臨床試験で、放射線のみの治療に比べ治療効果があがり、白血球の減少が改善されている。
*免疫系を介した抗腫瘍効果
**非経口投与
乳酸桿菌の非経口投与での抗腫瘍効果はいろいろな細胞系や動物種で見られている。(投与する乳酸桿菌は生菌か、死菌か?)マウスを使った移植系で、Sarcoma180肉腫、MethA線維芽細胞腫、B16黒色腫、3LL肺ガン、C57AT1,K234,L1210白血病細胞を皮下や皮内、腹腔内に移植した後、乳酸桿菌を注射すると明らかな抗腫瘍効果があった。
**経口投与
乳酸桿菌の経口投与はヒトでの膀胱ガンの再発を抑制する。
その実験モデル系:マウスの皮内にガン細胞を移植し、その5日後にそのガンを手術で切除する。その3日後にもう一度同じガン細胞を、最初に植えた所から離れた場所に移植して、その腫瘍の増殖を観察する。このようなマウスに乳酸桿菌を飲ませた所、飲ませなかったマウスに比べると、そのガンの増殖を抑制できた。
一般的にガンがある生体の免疫能は正常な状態に比べて低い。ガン細胞を移植されて乳酸桿菌を飲んでいないマウスではT細胞の反応は低く抑えられていたが、乳酸桿菌を飲ませたマウスでは反応が高まり、正常なマウスに近い反応を示した。これはガンによって低下した免疫能を乳酸桿菌が活性化させ、回復した免疫能がガン細胞の増殖を抑制したためである。
腸 若返りホルモン メラトニン ベネット体操 開花 (2004.10)
腸 脳 ボケ アルツハイマー病 パーキンソン病 開花(2004.10)
ヨーグルト オリゴ糖 カルシウム吸収 わかさ(2003.6)
文献
塚本・池澤:食品工業、(1998.10.30)18 “腸管出血性大腸菌O157 に対する発酵乳の殺菌作用”
伊藤:食品工業、(2002.10.15)74 “腸管出血性大腸菌O157を中心とした食中毒と腸内フローラ プロバイオティクスの可能性”
古賀:食品工業、(2002.7.30)74 “乳酸菌LS1を用いた新しい マウスケアの可能性 口腔内フローラ(細菌叢)の改善による口臭・歯周病・虫歯の予防”
古賀:食品工業、(2003.7.30)18 “プロバイオティクス食品の予防・健康医学における可能性”
北澤・齋藤: 食品工業、(2003.7.30)25 “乳酸菌からの免疫活性DNAモチーフの発見とブタToll様受容体トランスフェクタントによる活性評価系の構築”
保井:食品工業、(2003.7.30)37 “乳酸菌の免疫調節作用および疾病予防効果”
水谷:食品工業、(2003.7.30)44 “Lactobacillus acidophilus L-92株の機能と製品への応用”
淀江:食品工業、(2003.7.30)52 “ロイテリ菌の機能性とその応用”
志田:食品工業、(2002.7.30)49 “乳酸菌、特にLactobacillus casei シロタ株のアレルギー抑制作用”
乳酸菌、ビフィズス菌、オリゴ糖について、Googleサイト内検索をしてみましょう。
http://www1.ocn.ne.jp/~amiyacon/
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